近年、いろんなタイプの体験型イベントが増えてきますが、今回はちょっと変わり種を紹介します。
お笑いライブ……なんですけど、ただのお笑いライブじゃありません。それがこちら——『謎を解かないと帰れないお笑いライブ5』です。

そう、芸人のネタを楽しんだあとに、芸人とお客さんが一緒に謎解きに挑むという、なんとも欲張りな公演。主催は、お笑い芸人でありながら謎解きクリエイターでもある、グータン森山さん。「お笑い」と「謎解き」という、ふだんは別々に生きているふたつのジャンルを、まるごと一晩に詰め込んでしまう企画です。
筆者は謎解きはちょこちょこ、お笑いライブにいたっては今回が初めてという、なかなかのお笑い初心者。そんな人間でもちゃんと楽しめるのか……?という不安半分、ワクワク半分で、6/17の公演に潜入してきました!(ナビゲーター:かのうおりがみ、以下かのう)
このイベントってどんなもの?
『謎を解かないと帰れないお笑いライブ』は、お笑い芸人であり謎解きクリエイターでもあるグータン森山さんが主催する参加型ライブです。

ざっくり言うと、こんな二部構成。
- 前半:芸人たちがふつうにネタを披露(お笑いライブパート)
- 後半:芸人とお客さんが一緒に謎解きに挑戦(謎解きパート)
ポイントは、芸人を見に来た人も、謎解きを目当てに来た人も、どっちも置いていかないように、いたるところにヒントと工夫が仕込まれていること。「謎を解かないと帰れない」なんてタイトルですが、実はめちゃくちゃ間口の広い公演なんです。
シリーズの初回はなんと約20人からスタート。そこから口コミで良さがじわじわ広がって、今回の5回目はついに180人で満席! 爆発的な伸び方をしているので、きっとじきに数百人規模になる気がしてます。
いざ、会場へ。坂をのぼった先のコミュニティセンター
会場は、小田急線・代々木八幡駅から歩いてすぐ。

駅を出て、住宅街の細い坂道をてくてく登っていきます。


正直、「本当にこっちで合ってる?」と少し不安になるくらい、静かな路地。その先にあったのが、YCC代々木八幡コミュニティセンターでした。

館内の案内板を見ると、ホールの使用枠のところに手書きで「笑謎(わらなぞ)」の文字が。

この手書き感、なんだかいいですね。手づくりの温度を感じます。
開演前から、すでに謎解きがはじまっている

会場に入ると、客席はほぼ満席。階段状に並んだ席に、学生さんのような若い人から社会人まで、本当にいろんな層が座っています。

入場はチケットの番号順、座席は自由席。そしてチケットも物販もすべて現金のみ。このあたりも手づくり感があって、なんだか好感が持てます。
配られたのは、出演者の顔写真がずらりと並んだ黄色いパンフレット。

……と思ってよく見ると、パンフレットの中に「ウォーミングアップ謎解き」が印刷されているではないですか。開演前から、すでに真剣にペンを走らせている人もちらほら。気が早い! いや、これが正しい楽しみ方なのかも。

お笑いを見に来た人、謎解きをしに来た人。あきらかに別々の目的の人たちが、同じ空気の中で開演を待っている。この時点ですでに、ちょっと不思議な光景でした。

まずは、ふつうに爆笑のお笑いライブ

開演すると、まずはイントロのクイズから。これがよくできていて、出題の中に、この日出演する芸人さんの名前がさりげなく仕込まれているんです。


謎解ききっかけで来た人って、芸人さんにそこまで詳しくなかったりしますよね(何を隠そう私もそうでした)。でも、遊んでいるうちに自然と「あ、この人がこういう芸人さんなんだ」と覚えられる。芸人さんにとっても、名前を覚えてもらえる嬉しい仕掛けになっていて、よくできてるなぁと感心しました。
そこからは、一人およそ3分のネタが次々と。これがもう、ふつうに爆笑のお笑いライブ。






ライブならではの熱気もすごくて、横の人がゲラゲラ笑っていると、こっちもどんどん楽しくなってくる。最前列なんて、芸人さんとの距離が1メートルもないんじゃないかというくらい近い。あとで前列のお客さんに話を聞いたら、「こんな近くで見られたの初めて!」と興奮していました。
芸人さんが、別人になって登場する謎解きパート
ネタが終わると、いよいよ謎解きパート。
ここで会場の空気がガラッと変わります。なんと、進行役の森山さんが、黒いマントとシルクハット、仮面をまとった別人キャラとして登場するんです!

さっきまで芸人としてしゃべっていた人が、急に「謎の出題者」に変身。この衣装替えが、客席のモードを切り替えるスイッチになっていました。ニコニコ笑っていたお客さんが、ふっと「よし、やるぞ」という顔つきになる。受け身だった空気が、一気に前のめりに変わっていくのがわかります。
「謎を解かないと帰れない」というタイトルだけに、正直ちょっと身構えますよね。どれだけ難しいのが来るんだ……と。

ところが、ルール説明のあたりで空気がほどけていきます。説明がちょっと込み入ってくると、ひな壇の芸人さんたちがすかさずガヤを入れてくれるんです。

「いまの、わかった?」「ちょっと待った!」
お客さんが心の中で思っていることを、芸人さんが代わりに声に出してくれる。おかげで、難しくなりがちな謎解きの導入が、まるでバラエティ番組を見ているみたいな感覚に。笑いながらルールを飲み込んでいけました。


観客の方をこっそり見てから、自分が上げる旗の色を選んでいた…ように見えた芸人さんがいたのはきっと気のせいです。はい。
芸人も観客も、みんな必死。境界線が消えていく
謎解き本編は、スピード感もボリュームもたっぷり。時間制限はなかなかシビアです。
そしてこの公演がすごいのは、芸人とお客さんが、まったく同じタイミングで同じ謎に挑むこと。

ステージ上の芸人さんたちも、もう必死。台本もボケる余裕もなく、舞台に腹ばいになったり膝をついたりして、解答用紙に食らいついています。

お客さんそっちのけで床に這いつくばって謎に挑む芸人さん達。なかなか衝撃の光景です。
汗だくになりながら「わかった、これ○○だ!」と思わず口走っちゃう芸人さんもいて、それを聞いたお客さんが「あ、自分まだそこまで行ってない」と現在地を確認する。逆に「自分のほうが進んでる!」と安心する人も。
芸人さんにも得意・不得意があって、サクサク解く人もいれば、1問目でずーっと止まっている人もいる。完璧な人ばかりじゃないんだ、というのが、参加する側にとってはものすごく安心材料になるんですよね。

ちなみにこの「現在地の確かめ合い」、取材しながら解いていた筆者もしっかり味わいました。
ある芸人さんが「やっと2問目解けたーーー!!」とステージで絶叫した瞬間、4問目まで進んでいた筆者は「なんだ、自分は遅れてないじゃん」と内心ホッ。……と思った直後、森山さんが「もう全問解いた人がいまーす!」と言うものだから、今度は冷や汗をかきながら謎解きに逆戻り。
誰かの声で安心して、別の誰かの存在で焦る。客席全員が、見えない順位表の中で同じレースを走っている感覚でした。
そして、この日いちばん印象的だった場面。ピンクのジャケットをまとったママタルトの大鶴肥満さんが、客席に降りてきたんです!

「この謎よかったよね!」「解き方わからない人いたら、俺が教えるよ!」と、目の前のお客さんにぐいぐい絡んでいく。芸人さんだからこそ成立する、あの楽しい絡み方。話しかけられたお客さんは、もう本当に嬉しそう。
ふつう、ステージと客席のあいだには、はっきりとした境界線がありますよね。でもこの時間だけは、その線がきれいに消えていました。

答えを一斉に出す場面では、配られた旗をみんなが「やったぞ!」とばかりに高々と掲げる。客席いっぱいに小さな旗が揺れる光景は、なかなか壮観でした。
主催・グータン森山さんに聞いてみた
この一風変わった公演、どうやって生まれたんでしょう。終演後、主催のグータン森山さんにお話を伺いました!







ちなみに森山さん、将来的には大阪公演やツアー、いつか1000人規模も……と夢は広がるばかり。次回6回目への意欲もバッチリでした!
参加したお客さんにも聞いてみた!
せっかくなので、終演後に何人かのお客さんにも感想を聞いてみました!
参加者A(謎解き中心・初参加):初めて来たんですけど、すごく面白かったです! ふだんは謎解き中心なんですけど、お笑いも好きなので、半々みたいな感じで、すごくお得に楽しめました。ママタルトさんが近くで見られたのも嬉しかった! 謎は8割くらい解けました。
参加者B(森山さんのファン・リピーター):森山さんのファンで、前回来てすごく好きになって、今回もやってきました。妻と一緒に来てるんですけど、ちょうどいい感じで謎解きもできて楽しい。謎のクオリティが高くて、最後の最後まで答えを迷うくらいの歯ごたえでした。

参加者C(芸人ファン・推し活):夫が謎解き好きで、私は芸人さんが好きで来ました。ふだんお笑いを見に行っても、推しの芸人さんを見られる時間って意外と短いんですよ。でも今日はずっと目の前にいてくれて、すごく満たされました。途中から謎解きはほっぽり出して(笑)、推しが難問に挑む姿をずっと応援してました。
参加者D(謎解き好き・友達と3人):謎解き好きなんですけど、芸人さんがいるってことで、謎解き初めての友達を誘いやすかったのが良かったです。3人で来て、最初から最後まで楽しめました。

みなさん、来た理由はバラバラなのに、それぞれの楽しみ方でちゃんと満たされて帰っていく。これがこの公演のすごいところだなぁと思いました。
上記のお客さんの声を森山さんに伝えたところ、森山さんがお客さんから直接聞いたエピソードを嬉しそうに話してくれました。過去の開催回で、出演している芸人さん目当てで来たお客さんが、その芸人さんの様子をずっと見ていたそう。普段は面白おかしくふざけている芸人さんが、解けなくても真剣に謎解きに挑んでいる姿を見て「ちゃんと頑張ってるやん」と、その芸人さんの意外な側面を知り、もっと好きになって帰っていったんだとか。

正解することよりも大事なものが、たしかにこの会場にはありました。
おまけ:物販コーナーでの、こんな一幕
終演後の物販コーナーで、こんな会話が生まれていました。
ママタルトさん:「全部解けましたか?」
お客さん:「いや、最後の2問が難しくて……」
ママタルトさん:「あれ、大変でしたよね!!」

ついさっきまで同じ謎に挑んでいた芸人さんと、まるで友達のように今日の公演を振り返る。こんな体験、これまでのお笑いライブにあったでしょうか。
ステージと客席という関係が終わったあとも、二人は「同じ謎を解いた仲間」として並んでいました。
まとめ:笑って、解いて、いつのまにか“参加”していた
笑うことと、解くこと。受け身で楽しむことと、自分から挑むこと。本来は別々のはずのふたつが、この日は同じ会場で、同じ時間に、同じ謎をめぐって溶け合っていました。
完璧に解けなくたっていい。隣の人と顔を見合わせて、芸人さんと一緒に頭をひねって、誰かが声を上げた瞬間に会場全体がワッと沸く。その熱の中にいられたことこそが、このライブの正体だったように思います。
帰り道、「悔しい……でもまた来たい!」という気持ちが同時にこみ上げてきました。お笑い初心者でも、謎解き初心者でも、ぜんぜん大丈夫。むしろ、そういう人にこそ味わってほしい体験です。
気になった方は、ぜひ次回の公演をチェックしてみてください。きっと、笑っているうちに、いつのまにか謎を解いているはずですよ!

イベント情報

🎯 謎を解かないと帰れないお笑いライブ5
- 📍 会場:YCC代々木八幡コミュニティセンター ホール(東京都渋谷区代々木5丁目1-15)
- 🗓 開催日:2026年6月17日(水) 開場19:00/開演19:30/終演21:30
- 🎫 チケット:3,000円(チケット・物販ともに現金のみ/自由席・番号順入場)
- 👥 来場者数:約180人(満席)
- 🎤 出演:ヒガ2000/ママタルト/ファイヤーサンダー/ラパルフェ/グリーンランプ/グータン森山
- 🙋 主催:グータン森山
ナビゲーター:かのうおりがみ(X:@hirokano123)
カメラ担当:おゆき(X:@oyuki_nazo_)
※写真はすべて主催者の許可を得て掲載しています。
編集中追記:再演決定!!!
なんとなんと、この記事を書いている間に再演が決まったそうです。
7月23日(木) 22:00からチケット発売だそうなので、ぜひ以下のリンクから詳細をチェックしてみてください!
2026年8月28日(金)19:15〜『謎を解かないと帰れないお笑いライブ5』https://tiget.net/events/505207
きっと謎解き好きならばお笑いが、お笑い好きならば謎解きが好きになっているはずです!