【クリエイターインタビュー】Far&Near(ファーニャー)「忘れられし都市伝説からの脱出」

【クリエイターインタビュー】Far&Near(ファーニャー)「忘れられし都市伝説からの脱出」

都市伝説をテーマにした新作体験型脱出ゲーム「忘れられし都市伝説からの脱出」。 この作品を手がけたのは、"本気になれる謎解き"を作り続ける Far&Near(ファーニャー)と、学生団体 algo のコラボチームだ。 ホラーに頼らず、プレイヤーの“思考”と“感情”を同時に刺激する。そんな本作の設計思想と制作の舞台裏を、Far&Nearのメインディレクター・ますとび、algoのディレクター・おんよに聞いた。

■都市伝説を「コンサル」するという発想

八代
八代
まず、テーマを都市伝説にした理由から教えてください。
ますとび
ますとび
最初は「キサラギ駅」を題材にした公演を作ろう、というところから始まったんです。そこから「どうしたらもっと面白くなるか」を考えていく中で、1つのエピソードではなく、いくつもの都市伝説を組み合わせていったら、より面白くなるんじゃないかってアイデアが出て。
おんよ
おんよ
打ち合わせの中で出てきたキーワードが「都市伝説をコンサルする」なんですよね。古びた都市伝説たちを“現代に最適化”していく。設定を作り替え、もう一度人の心に刺さるようにアップデートしていく、という。
おゆき
おゆき
“コンサル”って言葉の響きがいいですね。ちょっと笑えるけど、妙に納得します。
八代
八代
実際プレイしてみて、ホラーではないのにずっと不穏でした。この「怖くないけど怖い」のバランスは意識して作ったんですか?
おんよ
おんよ
かなり意識しましたね。僕自身、びっくり系のホラーが苦手なんです。だから「怖がらせない代わりに、じわっと不安になる要素」を入れたくて。
ますとび
ますとび
演出担当の島倉とも、そのあたりを多く話し合いました。 特に、扉が「ガチャッ」と閉まる音に合わせてタイトルが浮かぶ瞬間は、これから起きる不穏な出来事を暗示していて、お気に入りのシーンです。
おゆき
おゆき
怖すぎないのに、なんとなく“落ち着かない”。その感覚がすごくリアルでした。
ますとび
ますとび
ありがとうございます。今回は、「驚かされるのは苦手」だけど「不穏な世界観は好き」という人たちに体験して欲しいと思い、ジャンプスケアのない、ジャパニーズホラーのような不穏な世界観を目指しました。

■難易度の哲学──「成功に慣れた人にもう一度“悔しさ”を」

八代
八代
Far & Nearの公演って、結構“難しい”印象があります。
ますとび
ますとび
そう言われることも多いですね。ただ、僕らとしてはただ“難しく作る”というより、成功に慣れた人にもう一度“本気で”挑戦して欲しくて、この難易度に設定しています。 成功することが当たり前になると、達成の喜びも薄れてしまう。だからこそ、本気で挑む体験をして欲しくて。
おんよ
おんよ
その中で、小謎の作り方も意識しました。紙1枚で終わらない構造を増やして、実際に手を動かす、装置に触る、空間を歩く。解くというより体験して理解する。 簡単ではないけど、解けた時の「やった!」が濃いんですよ。

ますとび
ますとび
それに、難しくしたとしても、最後の“大謎”を考える時間だけは、できるだけ残るような作りにしています。 やっぱり、謎解き公演で一番楽しい時間は、大謎を考えている時間だと思うので、 「時間が足りなくて大謎に触れられなかった」で終わってほしくない。
おゆき
おゆき
確かに、悔しいけど嫌な気分にはならないんですよね。失敗したのに気持ちいい。
ますとび
ますとび
ありがとうございます。
八代
八代
逆に初心者向けにはどう対応しているんでしょうか?
ますとび
ますとび
「エンジョイモード」という別モードを用意しています。 道中の難易度を少し下げたり、時間がかかるステップを削ったりして、最後までたどりつきやすくしているんです。GM(ゲームマスター)もしっかりサポートしてくれるので、ファーニャーの難易度に慣れていない方にオススメです。
八代
八代
今回、並び時間がほとんどなかったのも印象的でした。
ますとび
ますとび
そこは「ミニルーム型」という仕組みを使っています。 より面白い体験をしてもらうため、チーム毎に小部屋に閉じ込めるタイミングがあるのですが、小部屋には限りが合ってどうしても待ち時間が発生してしまう。 そこで、小部屋に入る順番を、チームによって変えることで、待ち時間なしで体験できる仕組みを実現しました。 この仕組みを使った公演は、今回で3作目になります。
おゆき
おゆき
作品全体を通して感じたのは、ただの脱出ゲームじゃなく、感情を整理させられる体験ということでした。最後まで走りきったあとに残る余韻が独特です。
ますとび
ますとび
ありがとうございます。この公演を体験したことで、少しだけ日常生活に「都市伝説」が紛れ込んだら嬉しいなと思います。例えば、いつも見ていたものが、少し違った見え方をしたり。
おんよ
おんよ
僕もそう思います。ホラーが苦手な人でも、ちょっと不気味な世界に身を置いてみたい人は多いと思うんです。 そこに“思考の快感”を掛け合わせることで、謎解きとしても演出としても、新しい楽しみ方ができると信じています。
八代
八代
まさに“怖くないのにヒリつく”。この温度感が今の時代にすごく合ってますね。
ますとび
ますとび
僕は昔から妖怪や意味が分かると怖い話、検索してはいけない言葉みたいなものが好きだったんです。 調べていくうちに、そういった存在がすごく魅力的に思えてきて。 そういうちょっと不気味、怖い、みたいな世界観が好きな人は、ぜひ遊びに来ていただければなと思います。

🕯 取材後記(八代)

Far & Nearとalgoの共作は、学生団体と企業のコラボを超えた“共鳴”のようだった。 ホラーでも、謎解きでもない。恐怖を“考える”という新しい遊び方を提示した本作は、脱出ゲームというジャンルをもう一段深くしている。 この先、どんな「忘れられし」物語が再び目を覚ますのか──期待せずにはいられない。

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